2023年9月27日最高裁の弁論を傍聴しました
2023年10月22日
当活動主催団体代表のこむぎ、及びデモ参加経験者たちが弁論を傍聴しました。
以下、事案の概要及び性同一性障害特例法の一部抜粋です。弁論当日傍聴人に配布された資料(最高裁判所広報課 性別の取り扱い変更申立て事件について)から引用しています。
本件は、生物学的な性別は男性であるが心理的な性別は女性である抗告人が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下、「特例法」という。)3条1項に基づき、性別の取扱いの変更の審判を申し立てた事案である。なお、抗告人は、生殖腺除去手術等を受けていない。
特例法3条1項
家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
1~3(略)
4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
以下、弁論(これまでの経緯、抗告人側の主張)の概要を記します。
- 抗告人(性同一性障害者。生物学的な性別は男性、心理的な性別は女性)は、女性として社会生活を送っており、現実の性別は女性である。しかし法律上の性別は男性であり、現実の性別と法律上の性別との間のギャップによって困難・不利益を被っている。
- 抗告人はホルモン治療によって生殖能力が著しく減退しており、妊娠(に至らしめる)の可能性は非常に低く、この状態は不可逆的である。この事実を以てして、性同一性障害特例法に基づく戸籍上の性別の変更を申し立てたが、家庭裁判所、高等裁判所ともに、手術を受けていないことを理由に却下された。
- 特例法の運用において、個々人の事情(ホルモン治療によって生殖能力が著しく減退していることや、手術の負担など)に関係なく、機械的に手術の施行が性別変更の条件にされるのならば、それは性別のあり方が尊重されないこと、ひいては人格が尊重されないことであり、基本的人権の侵害であり、憲法違反ではないか。
- 抗告人は、「社会を変えよう」などのことは考えておらず、政府を悪だとも思っておらず、自身の現実の性別と法律上の性別との間のギャップに伴う困難から自分を救ってほしいだけである。最高裁判所の裁判官の皆様の判断に希望をかけている。